朗読作品

城の絵図面|銭形平次捕物控|野村胡堂

野村胡堂 →
城の修復図が偽物へすり替わった。公儀へ渡れば二十万石の藩が謀叛を疑われかねない――。城大工の死、五十両の小判、そして平次自身の推理の誤りが絡み合う、野村胡堂「銭形平次捕物控」の異色作。
銭形平次が城の絵図面を前に推理の誤りへ気づく代表ビジュアル

THIS WORK

この作品を、どう辿りますか。

あらすじ

奥州のある二十万石の大藩から、銭形平次のもとへ二人の武士が訪れます。幕府へ提出するはずだった居城修復の絵図面が、何者かによって別の図面へすり替えられていたのです。

本物が公儀へ渡れば、城の修復は「籠城の用意」、ひいては謀叛の証拠と見なされかねません。責任を負った城大工・柏木藤兵衛の死を皮切りに、弟子の太吉、五十両余りの小判、下女お杉をめぐる謎が重なっていきます。

そしてこの事件では、名御用聞の平次自身が一度、大きく推理を見誤ります。一枚の絵図面をめぐって、恋、お家存亡、忠義、罪が交錯する異色の捕物です。

登場人物

  • 銭形平次 — 江戸の名御用聞。大藩の存亡に関わる異例の探索を引き受ける。
  • 八五郎(ガラッ八) — 平次の相棒。探索を支え、新しい情報を持ち帰る。
  • 石津右門 — 奥州の大藩の国家老。藩の危機を背負って平次へ依頼する。
  • 大垣伊右衛門 — 江戸留守居。奥方の叔父。事件の核心に深く関わる。
  • 柏木藤兵衛 — 名高い城大工。問題の城絵図を作成した人物。
  • お勇 — 藤兵衛の娘。弟子・良助との将来をめぐり父と対立する。
  • お杉 — 藤兵衛宅の若い下女。絵図面の行方を握る重要人物。
  • 良助 — 藤兵衛の弟子。お勇との縁談をめぐる事情を抱える。
  • 太吉 — 藤兵衛の弟子。秘密へ近づいたことで事件が大きく動く。
  • 三輪の万七 — 御用聞。太吉の件で良助を疑う。

用語集

用語意味
絵図面城郭や建物の構造・配置を記した詳細な図。
国家老国元で藩政を預かる上級家臣。
留守居江戸屋敷などで藩の対外折衝を担う役職。
改易大名の領地や家格を取り上げる処分。
削封領地を削減する処分。
上屋敷江戸に置かれた大名の主要屋敷。
釣筆筆跡を隠すため、筆を吊るすなどして文字を書く方法。
御作事奉行建築・営繕関係を扱う役職。

物語を巡る

— 七つのカードから『城の絵図面』の謎と余韻を巡る —

唄本を聴く

— 『銭形平次捕物控』の世界を音楽でも —

物語を辿る

— 九章とエンディングのビジュアルから、事件の転換点を辿る —

第一章 二人の武士

平次の家を訪れた石津右門と大垣伊右衛門。依頼は、町方の捕物をはるかに越える「お家存亡」の危機でした。

平次宅を訪ねた二人の武士
第一章 二人の武士

第二章 偽物の絵図面

公儀へ提出するはずだった城の修復図は、寺や屋敷の図へすり替わっていました。

偽物へすり替わった城の絵図面
第二章 偽物の絵図面

第三章 藤兵衛の家

城大工・柏木藤兵衛の死を受け、平次は工房に残された人々と道具、神棚を一つずつ調べます。

城大工藤兵衛の家を調べる平次
第三章 藤兵衛の家

第四章 お勇の告白

お勇は、良助との縁談をめぐる父との対立から、お杉へ絵図面を動かすよう頼んだことを明かします。

お勇から秘密を聞く平次
第四章 お勇の告白

第五章 隠された遺書

良助が隠していた手紙が現れ、弟子たちの証言と行動が新たな疑いを生みます。

良助が隠していた遺書
第五章 隠された遺書

第六章 平次の迷い

平次は藤兵衛本人によるすり替えという大胆な仮説へ進みますが、胸の奥には解けない違和感が残ります。

推理に迷う平次と八五郎
第六章 平次の迷い

第七章 太吉の五十両

質素な弟子の部屋から、身分不相応な五、六十両の小判が発見されます。ここから事件の見え方が一変します。

太吉の部屋から見つかった小判
第七章 太吉の五十両

第八章 推理を覆す

新しい情報を前に、平次は自分の失策を認め、推理を根本から組み直します。

自らの推理の誤りへ気づく平次
第八章 推理を覆す

第九章 朧夜の襲撃

朧月の夜、お杉へ迫る武士。平次と八五郎はついに事件の核心と対峙します。

朧夜にお杉を救う平次と八五郎
第九章 朧夜の襲撃

余韻 春の宵

事件は終わっても、平次の胸には寒さが残ります。忠義が罪へ変わる境目を見た男の、静かな帰路です。

事件後の春の宵を歩く平次と八五郎
余韻 春の宵

物語を読む

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