朗読作品

殺され半蔵

野村胡堂 →
旗本・小永井家で相次ぐ奇妙な急死。病身の当主は土蔵へ幽閉され、一人娘・浪江には望まぬ縁談が迫る。銭形平次が目を付けたのは、酒好きで喧嘩っ早い若い奉公人――人呼んで「殺され半蔵」だった。
銭形平次と浪江を中心に描いた『殺され半蔵』のYouTubeサムネイル

THIS WORK

この作品を、どう辿りますか。

殺され半蔵

野村胡堂「銭形平次捕物控」。旗本屋敷の相次ぐ急死と家督争い、そのただ中で命を張る一人の奉公人を描く、人情と謎解きの一篇です。

銭形平次と浪江を中心に描いた『殺され半蔵』のYouTubeサムネイル
野村胡堂『銭形平次捕物控 殺され半蔵』

あらすじ

旗本・小永井家で起きた、奇妙な「卒中死」。病身の当主・鉄馬は土蔵へ閉じ込められ、一人娘の浪江は、叔父・滝三郎から望まぬ縁談を迫られていました。その陰で、浪江の乳母まで急死します。

銭形平次が目を付けたのは、酒浸りで「サア殺せ」と騒ぐことから「殺され半蔵」と呼ばれる若い奉公人。娘を救うためなら命など惜しくない――。証拠のない事件を暴くため、平次は半蔵に危険な役目を頼みます。

登場人物

銭形平次

旗本屋敷の内紛と相次ぐ不審死を追う岡っ引き。身分の壁を越え、半蔵を使った大胆な策に出る。

八五郎(ガラッ八)

平次の子分。小永井屋敷から夜ごと聞こえる女の悲鳴を調べ、事件の異常さを持ち込む。

殺され半蔵

小永井家の若い奉公人。酒好きで荒っぽいが、主家への忠義と浪江への深い情を秘めている。

小永井浪江

小永井鉄馬の一人娘。病身の父を案じながら、叔父から望まぬ縁談を迫られる。

小永井鉄馬

二百五十石の旗本。病気を利用され、弟・滝三郎によって土蔵へ幽閉される。

滝三郎

鉄馬の弟。後見の立場を利用し、小永井家の実権を握ろうとする。

文五郎

滝三郎の息子。浪江との縁談を通じて家督に関わる立場にいる。

加世

浪江を幼い頃から育てた乳母。鉄馬の窮状を外へ知らせた後、急死する。

笹野新三郎

与力。小永井家の異変について相談を受け、平次へ事件を持ち込む。

用語集

後見

当主が病気などで家政を執れないとき、その補佐・代行をする立場。

仲間(ちゅうげん)

武家に仕える奉公人の一種。半蔵は小永井家の奉公人として描かれる。

若年寄

幕府の役職。旗本に関する問題は町方の権限だけでは扱いにくい。

ハネ釣瓶

長い竿と重りを利用して井戸水を汲み上げる仕組み。

人別を抜く

所属する家や地域の登録から外れることを指す作中表現。

物語を巡る

— 八つのビジュアルから『殺され半蔵』の核心を巡る —

物語を聴く

— 声で『殺され半蔵』を辿る —

唄本を聴く

作品世界とともに楽しむ、丸竹書房の唄本です。

物語を辿る

旗本屋敷の異変から、半蔵が命を張る決断、そして静かな旅立ちまでを物語順に辿ります。

第一章「旗本屋敷からの訴え」

笹野新三郎から、小永井家で病身の当主・鉄馬が弟に幽閉されているという相談が平次へ持ち込まれる。

八丁堀の座敷で笹野新三郎の相談を聞く銭形平次
第一章「旗本屋敷からの訴え」

第二章「乳母の死と女の悲鳴」

乳母・加世が急死し、さらに小永井屋敷から夜ごと女の悲鳴が聞こえると八五郎が報告する。

八五郎の報告を聞きながら考え込む銭形平次
第二章「乳母の死と女の悲鳴」

第三章「桜月夜の潜入」

平次と八五郎は月夜の屋敷へ忍び込み、異変の核心へ近づいていく。

月夜の小永井屋敷へ忍び込む銭形平次と八五郎
第三章「桜月夜の潜入」

第四章「井戸端の浪江」

井戸端で追い詰められた浪江を目撃し、小永井家で何が行われているのかが見え始める。

月夜の井戸端で追い詰められた浪江と、それを見守る平次たち
第四章「井戸端の浪江」

第五章「文五郎の芝居」

浪江を守るように現れた文五郎。しかし平次は、その振る舞いに作為を感じ取る。

井戸端の浪江をめぐり男たちが対峙する月夜の庭
第五章「文五郎の芝居」

第六章「酔いどれ半蔵」

平次は酒好きの奉公人・半蔵と接触する。荒っぽい男の表情が、浪江の窮状を知った瞬間に変わる。

酒場で半蔵に話を聞く銭形平次と八五郎
第六章「酔いどれ半蔵」

第七章「半蔵、浪江を救う」

半蔵は浪江を救い、土蔵に閉じ込められた父・鉄馬とも言葉を交わす。

月夜の庭で浪江に羽織を掛けて支える半蔵と、格子越しに見守る父
第七章「半蔵、浪江を救う」

第八章「平次の恐ろしい策」

証拠のない殺しの仕掛けを暴くため、平次は半蔵へ危険な囮役を依頼する。

平次の家で低い卓を挟み、危険な策を話す平次と半蔵、障子越しに聞く浪江
第八章「平次の恐ろしい策」

第九章「半蔵、殴り込み」

半蔵は再び小永井家へ乗り込み、相手に罠を仕掛けさせるため自ら危険の中へ入っていく。

第十章「仕掛けが暴かれる」

湯殿で半蔵を狙った仕掛けが動き出す。そこへ平次が踏み込み、事件の方法がついに露見する。

木造の湯殿で半蔵の罠が露見し、平次が踏み込む瞬間
第十章「仕掛けが暴かれる」

エンディング「半蔵の旅立ち」

事件が終わった後、半蔵は胸の内を語らぬまま江戸を離れていく。

朝焼けの江戸を振り返りながら旅立つ半蔵
エンディング「半蔵の旅立ち」

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