朗読作品
竹槍念仏
山本周五郎 →
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この作品を、どう辿りますか。
あらすじ
甲州・谷村新田の貧しい一念寺に住む自念和尚。網代笠で顔を隠し、托鉢と念仏の日々を送る彼には、誰にも明かしていない過去があった。
寺を支える百姓・茂右衛門の娘おきいの思いに心を乱されながらも、自念は煩悩を断とうと苦行を続ける。だが、谷村の貸元・美須屋勘八が弱い者を踏みにじり、さらに定吉から兄と辰次郎の非業を聞かされると、押さえ込んできた怒りはついに限界へ達する。
数珠を断った自念は、勘八を地蔵堂へ呼び出す。そこで明かされる正体は、かつて海道筋に名を売った渡世人「向う不見の半太郎」。和尚として生まれ変わろうとした男は、祈るだけでは救えない悪を前に、再び自らの本性と向き合う。
登場人物
自念(向う不見の半太郎)
谷村新田・一念寺の住持。常に網代笠で顔を隠す若い僧。かつては清水次郎長の身内に連なる渡世人で、「向う不見の半太郎」と呼ばれていた。
おきい
一念寺の東に住む百姓・茂右衛門の娘。米や味噌、菜などを寺へ届け、自念に深い思いを寄せる。
茂右衛門
谷村新田の百姓。仏性の厚い人物で、貧しい一念寺へ米や味噌を喜捨する。
定吉
江戸八丁堀の炭問屋・小倉屋五郎兵衛の甥。兄・吉之助の仇を討つため、辰次郎と甲州へ来る。
辰次郎
渡世人。定吉を伴って甲州へ入り、美須屋勘八を狙う。物語冒頭で自念のただならぬ身のこなしを見抜く。
吉之助
定吉の兄。渡世人となり、賭場で勝った帰途に美須屋勘八の一味に襲われる。
美須屋勘八
谷村の博打の貸元。多くの子分を抱えるが、渡世人仲間からも嫌われる無法者。
用語集
托鉢
僧が家々を巡り、経を唱えながら米や金銭などの喜捨を受ける修行。
時宗
一念寺の宗派。作中では相州藤沢の遊行寺を総本山とする宗派として描かれる。
網代笠
竹などを編んだ笠。自念は半年間、寺でも外でも顔を隠すためにかぶり続けている。
錫杖
僧が携える杖。自念は托鉢に用いる一方、危機の場面では身を守る道具にもする。
喜捨
寺や僧へ金銭・米・品物などを施すこと。茂右衛門一家は一念寺を継続して支える。
祠堂金
寺のために蓄えられた金。自念はおきいを救うため、美須屋勘八へ三十両を差し出す。
渡世人
博打などを生業とし、親分・子分の関係で生きる者。自念の過去と、辰次郎・吉之助らの世界を表す語。
貸元
賭場を取り仕切る親分格。美須屋勘八は谷村で大きな勢力を持つ貸元として登場する。
向う疵
顔の正面側についた傷。半太郎は荒神山の大喧嘩で額に三日月形の向う疵を負う。
念彼観音力
作中で自念が繰り返し唱える観音経の句。念仏と現実の悪との間で揺れる自念の心を象徴する。
竹槍念仏
数珠を捨てた半太郎が竹槍を手にして「これからは数珠無しの竹槍念仏」と言い放つ、作品を象徴する言葉。
物語を巡る
— 「悪党にも、意地がある」文豪横断企画の8枚から『竹槍念仏』の核心へ —
物語を聴く
— 声で『竹槍念仏』を辿る —
本動画は、野村胡堂『大盗懺悔』・山本周五郎『竹槍念仏』・吉川英治『下頭橋由来』を収録した総集編「悪党にも、意地がある」です。
物語を辿る
— 七つの場面から『竹槍念仏』を辿る —
1. 托鉢僧の博奕

猿橋から大月へ向かう街道。托鉢の家を半・丁に見立てる奇妙な坊主を、渡世人の辰次郎が見抜く。
2. おきいの告白

貧しい一念寺を支えるおきい。彼女の思いに気づいた自念は、自らの煩悩を恐れて仏前へ向かう。
3. 竹藪の危機

竹藪の前でおきいを取り囲む美須屋勘八の一味。怒りを抑えた自念は、金を差し出してその場を収める。
4. 傷ついた定吉

断食と誦経を続ける自念のもとへ、傷ついた定吉が運び込まれる。勘八の非道がさらに明らかになる。
5. 数珠が砕ける

定吉の話を聞いた自念の我慢が切れ、数珠が砕け散る。和尚としての一年と、渡世人としての本性が衝突する。
6. 半太郎の正体

地蔵堂で網代笠を脱いだ自念。額の三日月形の疵とともに、「向う不見の半太郎」の正体が明かされる。
7. 数珠なしの竹槍念仏

一念寺へ戻った半太郎は法衣を脱ぎ、竹槍を仕立てる。「数珠無しの竹槍念仏」として最後の覚悟を決める。
物語を読む
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