
THIS WORK
この作品を、どう辿りますか。

美少年ばかりの長屋に、死の密室。怪談めいた足跡の奥で、平次が見抜いたものは――。
あらすじ
千駄木螢澤の鈴川家。そこには、美しい男ばかりが暮らすことから「源氏長屋」と呼ばれる奇妙な屋敷があった。離屋に住む美青年・佐野松のもとへ、夜ごと正体不明の女が通い、縁側には狐狸妖怪を思わせる獣の足跡が残るという。
やがて佐野松は、雨戸を閉ざされた離屋の中で亡くなっているのが発見される。牡丹刷毛、古びた剃刀、馬の尾、そして炎に包まれる離屋。銭形平次は怪異の一つ一つを人間の細工として解きほぐし、その奥に潜む芸道への執着、男女の愛憎、そして親子の因縁へ迫っていく。
登場人物
- 銭形平次 — 神田明神下の御用聞。怪談めいた噂と密室の謎を、生活道具に残された小さな違和感から解きほぐしていく。
- 八五郎 — 平次の子分。お葉の茶屋に引き留められ、知らぬ間に事件のアリバイ工作へ利用される。
- お静 — 平次の女房。明神下の平次宅で、平次と八五郎の日常を支える。
- 鈴川主水 — 千駄木螢澤の屋敷の主人。元能役者で、美しい弟子たちを集めて暮らしている。
- 佐野松 — 鈴川家の離屋に暮らす美青年。夜ごと謎の女が訪れるという噂の中心人物。
- 杵太郎 — 鈴川主水の若い弟子。美しい若衆で、事件の証拠品をめぐって疑いを向けられる。
- 猪之松 — 鈴川家の下男。お葉への執着と不審な行動によって、事件の重要人物として浮かび上がる。
- お葉 — 谷中三崎町の茶屋の女主人。妖しい魅力を持つ年増女で、鈴川家との過去を秘めている。
- お舟・お小夜・お玉 — お葉の茶屋で働く三人の娘。八五郎やお葉の行動をめぐる証言に関わる。
用語集
- 源氏長屋 — 美しい男たちが集まって暮らす鈴川家を、周囲がそう呼んだ通称。
- 離屋 — 母屋から離れて建てられた小建物。佐野松が暮らし、密室事件の中心舞台となる。
- 雨戸 — 夜間や雨風を防ぐために閉める板戸。密室の成立を支える重要な仕掛け。
- 輪鍵 — 雨戸などを内側から留める輪状の金具。平次が密室の仕掛けを見破る鍵となる。
- 行燈 — 油を燃やして使う室内照明。事件当夜の状況を推理する手掛かりの一つ。
- 牡丹刷毛 — 化粧に使う刷毛。灰の上に獣の足跡らしい跡を作る細工に利用される。
- 白粉 — 顔や肌を白く見せる化粧料。牡丹刷毛とともに女の存在を暗示する。
- 剃刀 — 庭から見つかる古びた刃物。持ち主と置かれ方の不自然さが疑惑を深める。
- 馬の尾 — 細く丈夫な尾毛。雨戸の輪鍵を外から操る密室トリックの要となる。
- 心張棒 — 戸が開かないよう押さえる棒。離屋炎上の場面で脱出を妨げる仕掛けとして使われる。
- 能役者 — 能を演じる芸能者。鈴川主水の過去と芸道への執着を理解する手掛かり。
- 御用聞 — 町方の捜査に協力した民間の捕物役。平次がその代表的存在として描かれる。
物語を巡る
— 8枚のビジュアルから『美少年国』の核心へ —
物語を聴く
— 声で『美少年国』を辿る —
唄本を聴く
— 『銭形平次捕物控』の世界を音楽でも —
物語を辿る
連載全六回の流れを、主要な謎と転換点で振り返ります。
第一回 源氏長屋の怪
八五郎が持ち込んだのは、美しい男ばかりが暮らす「源氏長屋」の奇妙な噂。離屋には夜ごと女が通い、獣の足跡だけが残るという。
第二回 佐野松の死・牡丹刷毛
美青年・佐野松が閉ざされた離屋で亡くなる。平次は現場の灯り、雨戸、寝具、そして牡丹刷毛に目を留め、怪異の輪郭を人間の細工へ変えていく。
第三回 剃刀の主・謎の年増
庭から見つかった古い剃刀は杵太郎の持ち物だった。一方、平次はお葉と鈴川主水の不自然な反応を追い、八五郎が茶屋に引き留められた意味を読み解く。
第四回 猪之松登場・主水の女房・忍術
お葉のアリバイをめぐる攻防の中で、猪之松の影が濃くなる。さらに、鈴川主水とお葉の過去、そして閉ざされた離屋から曲者が消えた方法が新たな焦点となる。
第五回 馬の尾・三人の内に・火の中
平次は一本の馬の尾を使い、雨戸の輪鍵を外から操る密室の仕掛けを実演する。しかしその夜、離屋は炎に包まれ、事件はさらに危険な局面へ進む。
第六回 曲者の正体・親と子
平次は関係者を前に証拠を積み上げ、ついに事件の奥にある親子の秘密へ迫る。怪談のように始まった事件は、人間の情と芸道の歪みを残して幕を閉じる。
物語を読む
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