朗読作品

火の呪い|銭形平次捕物控|野村胡堂

野村胡堂 →
四年にわたり江戸を悩ませる不可解な怪火。七十八人への疑い、お雪の願い、二重菱の暗号――銭形平次が江戸を焼く見えない敵の正体を追う。
炎上する江戸を背景に平次と八五郎が立つ「火の呪い」カルーセル表紙

THIS WORK

この作品を、どう辿りますか。

あらすじ

明暦以来、江戸の町では夜ごと不気味な火事が続いていた。一か所から燃え広がるのではなく、まるで誰かが示し合わせたように、別々の場所から火の手が上がる。八五郎の「これは人間の仕業ではないか」という疑いから、銭形平次は四年越しの怪事件に目を向ける。ところが疑いは切支丹へ向けられ、七十八人もの人々が捕らえられてしまう。両親を救ってほしいと訴えるお雪の願いを受け、平次は本当の放火犯を追う。やがて橋の裏に残された二重菱の印、谷中の見徳庵、そして線香の匂いが、江戸を焼く仕掛けへとつながっていく。

登場人物

銭形平次

江戸の岡っ引。四年にわたり続く怪火の正体を追い、切支丹というだけで人を罪に問う流れに抗いながら真相へ迫る。

八五郎

平次の子分。最初に「火事は人間の仕業では」と疑いを口にし、後半では平次を守るため炎の中へ踏み込む。

お雪

両親を捕らえられた若い娘。平次に救いを求め、事件を冤罪を防ぐ戦いへ変える。

建部久馬

お雪の父。大村藩の浪人で手習師匠。切支丹の疑いをかけられて捕らえられる。

笹野新三郎

平次を信頼する与力。拙速な断定を避け、平次の探索を支える。

三輪の万七

平次の競争相手の岡っ引。切支丹探索に積極的に動く。

堀江又五郎

与力。万七に切支丹探索を進めさせる立場にある。

用語集

火の呪い

江戸で四年にわたって続く連続火災を、人々が恐れを込めて呼ぶ言葉。

切支丹

キリスト教徒。本作では疑いの対象となり、多くの人々が取り調べを受ける。

マリヤ観音

観音像の姿を借りて信仰対象とされたもの。作中では隠れた信仰の象徴として語られる。

オラショ

切支丹の祈りの言葉。お雪の話の中で重要な背景として現れる。

焔硝

火薬に関わる材料。怪火の仕掛けを推理する上で重要な鍵となる。

二重菱

橋や堂宮の玉垣に残された炭の印。事件をつなぐ暗号として機能する。

見徳庵

谷中・道灌山近くの荒れた庵。物語の大きな転換点となる場所。

物語を巡る

— 八つの場面から『火の呪い』を辿る —

物語を聴く

— 声で『火の呪い』を辿る —

唄本を聴く

『火の呪い』とあわせてお楽しみいただける主題歌・関連楽曲です。

物語を辿る

火事は人間の仕業か

火事は人間の仕業か

平次の家で、八五郎が四年続く火事の異常性を訴える。ここから江戸を焼く見えない敵との戦いが始まる。

七十八人

七十八人

疑いは切支丹へ向かい、多くの人々が取り調べを受ける。事件は放火だけでなく、冤罪の問題を孕み始める。

お雪の願い

お雪の願い

両親を救ってほしいと、お雪が平次に訴える。この人情の場面が、平次をより深く事件へ引き込んでいく。

二重菱の暗号

二重菱の暗号

橋の裏に描かれた奇妙な二重菱。平次は、それが火事を結ぶ暗号である可能性に気づく。

谷中・見徳庵へ

谷中・見徳庵へ

散らばった手掛かりの先にあったのは谷中の荒れた庵。平次と八五郎は敵の罠の中心へ踏み込む。

炎の見徳庵

炎の見徳庵

庵は火に包まれ、平次は危機に陥る。八五郎は命がけで平次を守り、炎の中から脱出を図る。

線香が暴いたもの

線香が暴いたもの

線香の匂いと仕掛けが怪火の真相をつなぐ。平次は呪いではなく人間の仕業であることを見抜く。

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