朗読作品

誉れの競べ矢

山本周五郎 →
父は、本当に負けたのか。三年をかけて弓を磨いた娘・小菊の一矢が、不正と父の汚名を射抜き、若き伊達政宗を変えてゆく。
弓を手にする小菊と父・浦上靭負を描いた「誉れの競べ矢」のサムネイル

THIS WORK

この作品を、どう辿りますか。

あらすじ

伊達政宗の鷹狩りの帰り道、非凡な弓の腕を見せた若い娘・小菊。彼女は、三年前の競べ矢に敗れて城を去った名臣・浦上靭負の娘だった。父の敗北には理由があると信じ、三年にわたり弓を磨いた小菊は、政宗の御前で弓術師範・山岸次郎七との勝負に臨む。一矢が暴く勝負の真相と、そこから若き政宗が学ぶ「武将の心得」を描く、凛として痛快な短編。

初出:1935年(昭和10年)12月『少女倶楽部』

登場人物

小菊
浦上靭負の娘。父の敗北に疑問を抱き、汚名を晴らすため三年間弓を鍛えた。しとやかさと強い意志、観察力を備える。

浦上靭負
伊達家譜代の重臣。剣・弓に優れ、軍学者としても重んぜられた。三年前の競べ矢ののち城を去り、山中に籠居する。

伊達政宗
二十歳の若き領主。気性の激しさと未熟さを持つ一方、真実を受け止めて成長できる器を備える。

山岸次郎七
伊達家に召し抱えられた弓術の達者。三年前の競べ矢で靭負を破り、政宗の弓術師範となる。

弥兵衛
政宗に仕える鷹匠。鷹狩りの場面で政宗の命を受ける。

用語集

競べ矢(くらべや)
弓の技量を競う勝負。本作では、名誉と不正、武士の器量を映す重要な舞台となる。

金的(きんまと)
小型の的。作中では遠距離から射る競技に用いられる。

鏑矢(かぶらや)
鏑を付け、飛ぶと音を発する矢。小菊の妙技を印象づける。

あずち
弓場で的を置く土盛り、または的場の一帯。

鷹狩り
訓練した鷹を用いて行う狩猟。武家の行事・遊興として行われた。

輔佐(ほさ)
主君を助け、支えること。終盤で政宗と靭負の関係を示す重要な言葉。

物語を巡る

— 八つの問いから『誉れの競べ矢』の世界へ —

物語を聴く

— 声で『誉れの競べ矢』を辿る —

物語を辿る

— 小菊の一矢が真相と人の心を動かすまで —

政宗の鷹狩り帰り

玉庭の山道を進む伊達政宗一行。獲物の少ない一日、若い政宗は不機嫌なまま帰路を急いでいた。

秋の山道を騎馬で進む若き伊達政宗と家臣たち
政宗の鷹狩り帰り

山中で現れた射手

政宗一行の前で、小菊が非凡な弓の腕を見せる。名も素性も明かそうとしない娘に、政宗は強い興味を抱く。

山中で弓を構える小菊と驚いて見守る政宗一行
山中で現れた非凡な射手

山中の庵で暮らす父娘

小菊の父・浦上靭負は、かつて伊達家で重んぜられた軍学者だった。今は娘と二人、山峡の庵で静かに暮らしている。

夕暮れの山中の庵で向き合う小菊と父・浦上靭負
山中の庵で暮らす父娘

三年前の競べ矢

酒宴の座興として命じられた弓勝負。名手・靭負は山岸次郎七に敗れ、その後、城下から姿を消した。

米沢城の的場で弓を手に向き合う浦上靭負と山岸次郎七、見守る若き政宗
三年前、父が敗れた競べ矢

三年間の修練

父ほどの名手が正当に負けたはずはない。そう信じる小菊は、父の名誉を取り戻すため山野で弓を磨き続ける。

朝焼けの山中で一人弓の稽古に励む小菊
父の名誉を取り戻すための三年

政宗の御前へ

米沢城の小馬場に立つ小菊。待ち望んだ次郎七との競べ矢が、ついに始まる。

米沢城の的場で弓を手に立ち、政宗と家臣に見守られる小菊
政宗の御前で始まる競べ矢

矢で、矢を射る

小菊の矢は、次郎七が的へ射込んだ矢の矢筈を正確に割る。城中はその妙技にどよめく。

小菊の放った矢が的に立つ別の矢を正確に割る瞬間
矢で、矢を射る

一本の黒い糸

小菊が示したのは、的に結びつけられた黒い絹糸だった。勝負に仕掛けられた不正が、政宗の前で明らかになる。

黒い糸を示す小菊と、驚いて的を見る伊達政宗と家臣たち
一本の黒い糸が暴く真相

若き政宗の覚醒

真相を知った政宗は山中の靭負を訪ねる。父の汚名が晴れると同時に、政宗自身も武将としての未熟さを知る。

冬の山中の庵で向き合う若き伊達政宗と浦上靭負、見守る小菊
若き政宗が武将として目を開く

物語を読む

読書版は現在準備中です。公開後、OTOBON LibraryおよびKindle版への導線を追加します。

OTOBON READER

本文を、そのまま読む。

作品ページを離れずに、次の読書体験へ。
Readerをひらく →