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この作品を、どう辿りますか。
井戸の中の小判
井戸の底に、百両。
消えた八歳の子供。奇跡の帰還を演じる修験者。そして、深い井戸から現れた百両の小判。池田大助は、濡れた梯子と六つの石という小さな違和感から、黄金と迷信の奥に隠された人間の執念へ迫ります。
あらすじ
麹町の質両替屋・徳力屋で、本妻のお寅の子・千之助が突然姿を消します。しかも捜索のため五十両もの褒美を差し出したのは、千之助の母ではなく、同じ家に暮らす妾のお玉でした。
やがて千之助を連れて戻ったのは、この春、祈祷によって千之助の疱瘡を治したと信じられていた修験者・大角坊。さらに大角坊は「黄金を一夜で倍にする」という法力を語り、徳力屋へ深く入り込んでいきます。
ところが一月余りののち、大角坊をめぐって徳力屋の古井戸に新たな異変が起こります。井戸を塞いだ蓋、六つの石、濡れた梯子、そして底から見つかった百両の小判。池田大助は、ばらばらに見えた手掛かりを一つずつ結び直していきます。
登場人物
- 池田大助 — 南町奉行所のお長屋に暮らす若い武士。読書家で、細かな違和感を見逃さない。
- 源太 — 御用聞。徳力屋で起きた千之助失踪の一件を大助へ知らせる。
- 仙太郎 — 飴屋の少年。大助や源太と親しく、調査にも加わる。
- 徳力屋忠兵衛 — 麹町の質両替屋の主人。本妻と妾を同じ家に置いて暮らしている。
- お寅 — 忠兵衛の本妻。千之助の母。
- お玉 — 忠兵衛の妾。亡くなった忠吉の母。千之助捜索のため五十両を差し出す。
- 千之助 — 八歳。お寅の子で、徳力屋の一人息子。
- 忠吉 — お玉の子。春の疱瘡で亡くなる。
- 大角坊 — 徳力屋へ出入りする修験者。千之助を連れ戻し、「黄金を倍にする」法力を語る。
- お国 — お玉の従姉。事件の裏側を知る人物。
用語集
- 疱瘡(ほうそう) — 作中で千之助と忠吉が患う病。
- 修験者(しゅげんじゃ) — 大角坊のように祈祷や山岳修行を行う者。
- 祈祷(きとう) — 神仏へ願いをかけ、加護や病気平癒などを祈ること。
- 調伏(ちょうぶく) — 作中で、お玉が大角坊の祈祷に結びつけて疑う言葉。
- 神隠し(かみかくし) — 千之助が突然消えた際、可能性の一つとして語られる。
- 法螺貝(ほらがい) — 大角坊を象徴する修験道の小道具。
- 用心井戸 — 徳力屋の裏手にある深い井戸。事件の重要な舞台になる。
- 小判・五十両・百両 — 捜索の褒美や「黄金倍増」の話を通じ、事件を動かす大金。
物語を巡る
— 七つのビジュアルから『井戸の中の小判』の謎と人間模様を巡る —
物語を聴く
— 声で『井戸の中の小判』を辿る —
唄本を聴く
『池田大助捕物帳』の世界を音楽でもお楽しみください。
物語を辿る
1|五十両の迷子探し
源太が大助へ持ち込んだのは、八歳の千之助が行方不明になり、捜し出した者には五十両という異例の褒美が出されたという話でした。しかも、その大金を出したのは本妻ではなく妾のお玉です。
2|「奇跡」で戻った子供
三日後、千之助は無事に戻ります。連れ帰ったのは修験者の大角坊。大角坊は大きな褒美を受け取り、徳力屋の信頼をさらに深めていきます。
3|黄金を倍にする法力
大角坊は、祈祷によって黄金を一夜で倍にできると語ります。徳力屋の主人・忠兵衛はその力を信じ、修験者を家へ迎え入れます。
4|閉ざされた井戸
やがて徳力屋の古井戸に異変が起こります。井戸には蓋がされ、その周囲には六つの石と長い梯子。大助は白い障子で光を反射させ、暗い井戸の内部を調べます。
5|井戸の底の百両
井戸から引き上げられた箱の中には、百両もの小判がありました。黄金はなぜ井戸の中にあったのか。大助は小判そのものより、梯子の濡れ方と石の選び方へ目を向けます。
6|小さな違和感が真相へつながる
千之助の失踪、大角坊の正体、黄金倍増の仕掛け、そして徳力屋の家庭に積み重なっていた感情。大助の推理は、最後に一つの菓子へと行き着きます。
作品情報
作品名:井戸の中の小判
作者:野村胡堂
シリーズ:池田大助捕物帳
作品ID:IKD-067
丸竹書房
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