朗読作品

戦国会津唄

山本周五郎 →
一万石の大身でありながら稗を食べ、粗衣に甘んじ、貸した金は容赦なく取り立てる岡野左内。人々に「稗野吝内」と嘲られた武将が、関ヶ原前夜に明かす真意とは。
吝内と呼ばれた男

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この作品を、どう辿りますか。

あらすじ

上杉景勝の重臣・岡野左内は、一万石の大身でありながら稗を食べ、粗末な木綿をまとい、貸した金は期限が来れば容赦なく取り立てる男だった。人々は彼を「稗野吝内」と嘲り、その悪評は十五歳の娘・小房にまで及ぶ。さらに左内は、小房の許嫁・市之丞の父にまで借金の返済を迫り、若い二人の仲を引き裂いてしまう。しかし関ヶ原の戦いを前に、上杉家が軍資金と武具不足に陥ったとき、左内が長年隠していた真意が明らかになる。

登場人物

岡野左内上杉景勝の重臣で猪苗代城代、一万石。徹底した倹約と厳しい金の取り立てで「稗野吝内」と嘲られるが、かつて伊達政宗と渡り合った勇将でもある。
小房左内の十五歳の娘。父の悪評のため「稗食い」と嘲られ、市之丞との縁談まで揺らぐ。
土岐市之丞土岐六郎右衛門の息子。小房の許嫁。正義感が強く、左内の武勇を尊敬している。
土岐六郎右衛門上杉家の侍大将、五千石。左内から五百金を借りている。
菊枝市之丞の妹。小房の幼なじみで親友。
林大九郎鉄砲組頭・林茂左衛門の息子。城下の悪童たちの中心人物。
上杉景勝会津の城主。関ヶ原前夜、軍資金と武具不足の中で挙兵を迫られる。
乳母母を亡くした小房を支え、終盤まで付き添う。

用語集

稗(ひえ)雑穀の一種。作中では、大身の左内一家が常食する質素な食事の象徴。
一万石左内の知行高。大身でありながら極端に質素な生活をするため、周囲の反感を招く。
猪苗代城代猪苗代城を預かる重要な役目。
許嫁将来の結婚をあらかじめ約束した相手。小房と市之丞がこの関係。
差添主刀に添えて差す短い刀。脇差。
物の具武具・甲冑。
永楽銭当時流通していた銭貨。作中では左内が軍用として差し出す資金の一部。
猿楽能へつながる芸能。終盤、左内らしい倹約ぶりを笑いへ転じる。
治にいて乱を案ずる平穏な時から有事に備えるという考え。左内の行動原理を象徴する。

物語を巡る

— 八つの視点から『戦国会津唄』の核心へ —

物語を聴く

— 声で『戦国会津唄』を辿る —

物語を辿る

— 十二の場面から、誤解と反転の物語を辿る —

1. 稗食いと嘲られる小房

稗食いと嘲られる小房
城下で人々の嘲りを背負い、俯いて歩く小房。

2. 吝内と呼ばれた男

吝内と呼ばれた男
一万石の大身でありながら、質素な膳を前にする岡野左内。

3. 市之丞が救う

市之丞が救う
小房を庇って前に立つ市之丞。

4. 天下の勇士

天下の勇士
市之丞が小房へ、左内という武人への敬意を語る。

5. 借金の取り立て

借金の取り立て
土岐家で返済を迫る左内と、背後で動揺する小房。

6. 五百金

五百金
金包みを挟み、左内と市之丞が対峙する。

7. 若者の刃

若者の刃
怒りに逸る市之丞を、歴戦の左内が制する。

8. 破談

破談
小房の呼びかけを背に、市之丞が立ち去る。

9. 武具を買い集める左内

武具を買い集める左内
岡野家へ次々と運び込まれる甲冑や槍などの軍備。

10. 関ヶ原前夜の軍議

関ヶ原前夜の軍議
軍資金と武具不足に苦悩する上杉家の軍議。

11. 黄金十五万両

黄金十五万両
左内が長年蓄えた軍用資金を明かし、家臣たちが驚く。

12. 蕾の花嫁

蕾の花嫁
小房を市之丞と菊枝が迎える、和解と希望の場面。

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