THIS WORK
この作品を、どう辿りますか。

あらすじ
深川のはずれ、佃町――通称「あひる」。岡場所「蔦家」で働くおぶんは、ある夜、良助という若い男と出会う。世に捨てられ、人を信じられなくなった良助は、破滅へ向かう危うい決意を胸に秘めていた。だが、おぶんは彼の孤独と痛みに、亡き兄の姿を重ねる。やがて深川を襲う暴風雨と高潮。水に沈む町、屋根の上に取り残された女たち。その暗闇の中、良助は小舟を漕いで蔦家へ戻ってくる。露の消えるような一時の情か、それとも本当の真心か。山本周五郎が描く、哀切で美しい人情の一篇です。
登場人物
おぶん
蔦家で働く二十歳の女。陰気でおとなしいが、深い情と洞察を持つ。病身の父と不具の兄を背負って生きてきた過去があり、良助の孤独に亡き兄の姿を重ねる。
良助
二十六歳の男。幼いころから母に捨てられ、奉公先でも苦労を重ねてきた。料理屋「よし川」で働いていたが、報われず、押込強盗を決意しかける。
おひろ
蔦家の最古参。冷静で人生を諦めたような言葉を吐くが、最後にはおぶんと良助の真心を認める重要人物。
お富
蔦家の女主人。商売の才覚があり、女たちを管理している。物語中盤で厄除け参りに出かけ、旅先で病に倒れる。
おけい
蔦家の女の一人。利口で軽口がうまい。おひろの作り話を見抜き、激しい口論をする。
お吉
蔦家の女の一人。陽気だがやや気が弱く、高潮の場面では荷物を背負って先に逃げ出す。
用語集
あひる
佃町の通称。本作では深川のはずれにある湿地と潮の匂いの濃い一帯として描かれる。
岡場所
公認の吉原とは別に存在した私娼街・遊興地。蔦家もその一つ。
蔦家
お富が営む岡場所の店。おぶん、おひろ、お吉、おけいが働いている。
匕首
短刀。良助が破滅へ向かう決意の象徴として物語に現れる。
押込強盗
家や店に押し入り金品を奪う強盗。追い詰められた良助が犯そうとしていた罪。
高潮
暴風などにより海面が異常に高くなり、沿岸部に水が押し寄せる現象。終盤の救出劇を生む。
露の干ぬま
露が乾かない短い間という意味。はかない一時の情と、最後に残る真心をめぐる題名の核心。
物語を巡る
— 十枚の縦型カードで『つゆのひぬま』を辿る —
物語を辿る
第一章 深川のはずれ「あひる」と蔦家
深川の南端、芦原と湿地に囲まれた「あひる」。岡場所「蔦家」は、繁華な町から外れた場所で静かに灯っている。

第二章 おぶんと良助、最初の出会い
蔦家の共部屋で、おぶんは良助の声に亡き兄の影を重ね、彼を客として受け入れる。

第三章 預けられた匕首
おぶんは夜具の下の包みを見つけ、良助の破滅を止めるためにそれを隠す。

第四章 おひろの忠告、露の干ぬま
おひろは、男の真心など露が乾くまでのものだと、おぶんに諭す。

第五章 女たちの亀裂
おけいの言葉をきっかけに、蔦家の女たちの疑い、嫉妬、傷ついた誇りが表に出る。

第六章 良助の告白
良助は、自分が押込強盗をしようとしていたこと、捨てられ働かされてきた人生を語る。

第七章 生きてゆける筈よ
おぶんは亡き兄の記憶と良助自身の言葉を重ね、良助に生きることを願う。

第八章 お富の病と、金の行方
お富が旅先で倒れ、良助を助けるための金の望みは崩れてゆく。

第九章 暴風雨と逃げ出す町
暴風雨が深川を襲い、橋が落ちたという噂とともに、高潮の気配が迫る。

第十章 屋根の上、星明かりの救い
水に沈む蔦家の屋根へ、良助が小舟で戻る。おひろは最後に「これが、しんじつ」と受けとめる。

制作メモ
公開導線のURLは未提示のため、物語を聴く、唄本を聴く、物語を読むの各セクションはこのパッケージでは省略しています。公開後、WordPress側の作品体験の導線から追加してください。
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