朗読作品

幽霊の手紙

野村胡堂 →
五年前に死んだはずの男から、銭形平次へ手紙が届く。深川の材木問屋・佐原屋を舞台に、一万両の隠し金、殺人事件、娘お筆に向けられた疑いが絡み合う、野村胡堂『銭形平次捕物控』の一篇。
白い手紙を持つ銭形平次と闇の中の人影

THIS WORK

この作品を、どう辿りますか。

死んだはずの男から、一通の手紙が届く。怪談めいた幕開けの奥で、五年前から続く事件と一万両の謎が静かに動き出します。

あらすじ

深川の材木問屋・佐原屋で、支配人の専三郎が命を落とす事件が起こります。調べを進める八五郎は、五年前の事件で父を失った娘・お筆の身辺から、彼女を疑わせる証拠を見つけます。

ところがその夜、平次のもとへ奇妙な手紙が届きます。差出人として記されていたのは、五年前に死んだはずのお筆の父・彦太郎。消えた一万両、過去と現在の事件、そして揃いすぎた証拠。平次は幽霊そのものではなく、そこに潜む『不自然さ』を読み始めます。

登場人物

【銭形平次】江戸の御用聞き。証拠の数ではなく、その置かれ方や筋道の不自然さを見抜く。

【八五郎(ガラッ八)】平次の子分。今回は捜査の前面に立ち、佐原屋の事件を追う。

【お静】平次の妻。夜、平次の家に届いた奇妙な手紙の場面に居合わせる。

【お筆】彦太郎の娘。父を失ったのち佐原屋で暮らし、事件の疑いを向けられる。

【彦太郎】お筆の父。五年前の事件で罪を問われ遠島となり、死亡したと伝えられている。

【専三郎】佐原屋の支配人。今回の事件の中心となる人物。

【甚五兵衛】佐原屋の先代主人。五年前に命を落とし、一万両を隠したとされる。

【小豆澤小六郎】佐原屋の後見を務める人物。

用語集

【一万両】佐原屋の先代主人が隠したとされる巨額の現金。本作の事件を結び付ける大きな謎。

【遠島】島への流刑。彦太郎の過去に関わる。

【石見銀山】作中で毒物として言及される名称。

【下っ引】御用聞きの配下として探索や聞き込みを行う者。

【永代橋】深川と大川周辺の情景に関わる場所。

物語を巡る

— 八枚のビジュアルから『幽霊の手紙』の謎と人情を巡る —

物語を辿る

事件の入口から、幽霊の手紙、そして一万両を巡る罠まで。朗読の流れに沿って七つの場面を辿ります。

一|平次と八五郎、一万両の事件

平次の家で事件について話す銭形平次と八五郎
一万両と千両の褒美――事件は平次の家から動き出す。

平次の家を訪れた八五郎が、佐原屋の事件と千両の褒美について切り出します。軽口の奥で、五年前から続く大きな謎が姿を現します。

二|五年前の佐原屋事件

永代橋近くの川辺を歩きながら話す平次と八五郎
五年前の殺人と、消えた一万両。

深川へ向かう道すがら、平次は先代主人・甚五兵衛の死と、一万両の行方を八五郎へ語ります。

三|中二階の謎

佐原屋の中二階と外廊下を調べる八五郎
出入りの道筋はどこにあったのか。

八五郎は佐原屋の中二階を調べ、部屋、廊下、手摺の位置から人の出入りの可能性を探ります。

四|お筆に向けられた疑い

紫の着物を見つけた八五郎と驚くお筆
決定的に見える証拠が、かえって疑念を深める。

お筆の部屋から見つかる、あまりにも都合のよい証拠。事件は一気に彼女へ傾きます。

五|幽霊からの手紙

行灯の下で謎の手紙を読む平次と八五郎、お静
差出人は、五年前に死んだはずの男。

夜の平次宅へ届いた一通。差出人は、死んだはずの彦太郎。平次は手紙の内容そのものより、そこにある理屈を読みます。

六|永代橋の老乞食

永代橋近くで老乞食を観察する平次と八五郎
橋のほとりに現れる、正体の知れない老人。

橋のほとりに現れる正体不明の老人。平次の目は、事件の外側にいるように見える人物へ向かいます。

七|月夜の材木置場

月夜の材木置場で積み上げた材木を調べる人影と平次たち
一万両を巡る罠が、ついに動く。

一万両の所在を巡り、夜の材木置場で平次の仕掛けた罠が動き始めます。

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